ジャンル:映画
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ 音楽:エンリオ・モリコーネ
出演: フィリップ・ノワレ , ジャック・ペラン , アニェーゼ・ナーノ , サルヴァトーレ・カシオ , マリオ・レオナルディ 他
映画が始まる。
最初に映し出されるのは、そよ風にはためくカーテン。
流れるおだやかな音楽。
この時点で心がじーんとなってきます。(最早パブロフの犬状態)
そしてラストのシーンでは、何度観ても熱いものがこみ上げてきます。
ストーリーは主人公の「壮年時代編」→「少年時代編」→「青年時代編」→「壮年時代編の続き」という風に展開されていきます。
物語は一人の年老いた女性が電話をかけるシーンで始まります。
彼女は自分の息子のサルヴァトーレ(主人公)に連絡をとろうとしています。
自宅に帰ったサルヴァトーレは、愛人から、母親から連絡があった事、「アルフレードが亡くなった」という事を伝えられます。
ベッドの中で考えこむサルヴァトーレ。
少年時代へと思いを馳せます。
トト(サルヴァトーレの幼年時代の名前)は、映画館『パラダイス座』とそこで働くアルフレードという映写技師が好きでした。
アルフレードは初老のおじいさんでしたが、人なつっこい笑顔で観るものを魅了します。
少年時代編は幼いトトとアルフレードの交流を軸に、トトの映画への愛情がじょじょに育っていく様子が描かれていきます。
やがて不幸な事故を経て、やがて舞台は青年編へと移ります。
パラダイス座(改名してニューシネマパラダイス座)でアルフレードと共に働く事になったトトは、やがてエレナという女性と恋に落ちます。
エレナとの恋愛を軸に描かれる青年編。
そして青年時代の恋の結末は・・・・。
青年時代編も終わりを向かえ、トトは愛する映画への思いを捨てきれず、故郷から旅立ち映画監督になる事を選びます。
別れの時、アルフレードはトトに、「もう二度と故郷には帰ってくるな。過去をふりかえらずに進め」といいます。
トトはアルフレードとの約束を守り、その後一度も故郷へは帰らなかったのでした。
アルフレードの訃報を聞くまでは・・・。
舞台は冒頭の壮年時代編に戻ります。
アルフレードの葬式に出るために故郷に帰ってきたサルヴァトーレ(トト)は、そこで時代の流れによって変わってしまったもの、変わらなかったものを実感します。
時代の流れには逆らえず朽ちたニューシネマパラダイス座を前にしてサルヴァトーレが思うものは・・・。
そしてアルフレードの奥さんから、アルフレードの形見として託されたあるもの。
それを見たサルヴァトーレは・・・・。
実は一番最初に観た時はまだ子供だった事もあったのか、あまり感動したという記憶がありません。
ところがそれから何年後かしてから観た2回目、3回と観ていくうちに、この作品にどんどんはまっていく自分がいたのでした。
全編に流れるエンリオ・モリコーネの音楽は実に心地よく、愛らしいトトと親しみやすいアルフレードの交流がユーモラスに描かれた少年時代編、トトの成長と恋愛を描いた青年時代編、そして過ぎ去ったものに思いを馳せる壮年時代編では時代の流れを感じてなんとも言えないものがあります。
そして、あのラストシーン・・・。
あまり同じ映画を見返すというのは好きではないのですが、この映画は何度も繰り返して見たりしてしまいます。
このニューシネマパラダイスは「ニューシネマパラダイス(2時間程度)」と「ニューシネマパラダイス 完全オリジナル版(3時間程度)」の2種類がDVDで出ています。
日本で最初に公開されたのは、2時間の「ニューシネマパラダイス」。
実はこれは当初想定していた作品から、1時間ほどシーンをカットしたものでした。
後に発表された「ニューシネマパラダイス 完全オリジナル版(以後『完全版』と表記)」は、そのカットされたシーンが丸々入っています。
じゃあ、完全版を一番最初に観るのが良いかというと・・・・ニューシネマパラダイスを観た事がない人には正直こっちを最初に観るのはおすすめできかねます。
「ニューシネマパラダイス」と「ニューシネマパラダイス完全版」では映画から受ける印象がまったく異なってくるからです。(ラストシーンの感じ方も異なってきます)
カットされた部分には性的な描写や人間くささの描写、青年時代に恋に落ちたエレナと壮年時代に再会するシーンなどが加わっており、正直一番最初にこっちを観ると、「そんないい映画ではないのでは・・・」と思ってしまうかもしれません。
(完全版は冗長に感じ、ちょっとラストの感動具合が薄れてます・・・。ここまで印象が変わるのは珍しいです。)
2時間の「ニューシネマパラダイス」を観た事がある人なら、その後に3時間の「ニューシネマパラダイス完全版」を観るのも良いと思いますが、一度もニューシネマパラダイスを観た事がないという人には、2時間版の「ニューシネマパラダイス」から観る事をおすすめします。
(といっても、たいていのレンタル店では「ニューシネマパラダイス完全版」しか借りる事ができないのが残念です・・・。セル版なら両方発売してるのですが。)