02/14/2006

ラストファンタジー(星降る夜の贈り物)

フランス映画 1991年
監督 アルノー・セリニャック 
出演 ジャン=ユーグ・アングラード、 ブリュノ、 ヴォイチェフ・プショニャック、 カトリーヌ・サミー、 イヴ・アフォンソ

<あらすじ>
不治の病に侵された幼い息子は、宇宙人の存在を信じています。
息子のために父親は、縁日で宇宙船と宇宙人の着ぐるみを借りてきて、庭に不時着したふりを装い、宇宙人「ガーウィン」になりすまします。
必死になって宇宙人になりきって子供を喜ばそうとする父親の姿は、滑稽でそれでいて哀れです。

やがて、「宇宙に行きたい」という子供の夢を叶えるため、父親は子供に睡眠薬を飲ませて、眠っている間に宇宙船ともども雪山へと移動します。
目を覚ました子供には「宇宙船で別の惑星へやってきた」と嘘をつき、雪山での奇妙な生活を始めるのですが・・・。

子供を想う親の愛がこの映画の軸となっており、なんとも胸が熱いです。
それと同時に雪山の映像はなんとも幻想的です。
宇宙人「ガーウィン」の顔立ちは、つぶらな瞳、タレ目、ブタ鼻で、どこか滑稽だったりします。

物語は雪山での奇妙な老人の登場とともに一転するのですが、この老人が行った事を子供だましととるか、あるいは本当に不思議な秘術ととるかで、ラストシーンでは描かれない「子供のその後」が変わってくるのではないでしょうか?

物語最後らへんで、子供の顔に暖炉の火が照り返しているカットは、かなり美しく、強烈に印象に残っています。

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12/29/2004

この愛を忘れない

ジャンル:映画(劇場未公開)1990年製作
監督: マイケル・L・ミラー
音楽: デヴィッド・シャイア
出演: スティーブン・ドゥーフ、パティー・デューク、ジョーン・ヴァン・アーク、デヴィッド・バーニー、リチャード・メイサー、サム・ワナメイカー、マルコム・スチュワート、リンダ・ダーロウ

 
 
この映画の原題は「Always Remember I Love You」
育ての親と生みの親、二つの家族の間で揺れ動く16歳の少年の心を描いた作品となっています。

<物語のあらすじ>
裕福な家庭に育った主人公ロバート。
彼は自分を愛してくれる優しい両親達とともに幸せな時を過ごしています。

16歳になったある日、ふとした事から彼は自分が両親の実の息子ではない事を知ってしまいます。
ショックのあまり狼狽して育ての親達にあたってしまうロバート。
育ての親達が優しい人達であるからこそ、彼らが実の両親でなかったと知った時のロバートのショックは、計り知れないものがあったと思います。

また、育ての親たちも、正式な養子縁組制度でロバートと親子関係になったものばかりだと思っていたのが、実はロバートは当時誘拐されて連れてこられたという事を今になって知り、驚きととまどいを隠せません。

やがてロバートは育ての親たちには何も言わずに家を飛び出し、実の両親を探す旅に出ます。


当時の誘拐記事を元に、自分の生みの親を探しあてたロバート。

眼鏡店で働く実の母親の元に自分の正体を隠したまま行ってみたり、同じく正体を隠したまま実の弟と友達のようにつきあったり、彼らの家の食事会に呼ばれたりと、観ていてもどかしいものがあります。
いきなり自分の正体を明かしても実の家族達はとまどってしまうだろうし、ロバート自身、実の家族達がどのような人達なのか、正体を隠したままで確認してみたかったのかもしれません。

野宿していたロバートは冬の寒さのあまり、実の両親達の元にとめてもらうようになります。
(実の両親・弟・妹には正体は隠したままなので「事情により家出した少年」と彼らからはとらえられています。)

そして一緒になって知った事。
それは、実の両親達が昔息子を誘拐されて行方不明になってしまった事に今でもひどく心を痛めてる事。
「その時の誘拐された息子が僕です。」と言い出せたら、どんなに楽だったでしょう。
しかし、ロバートは自分の事を言い出せません。

やがてクリスマスがやってきます。


このまま何も言わずにやがては育ての親の元へ帰ってしまうのか、それとも生みの親に自分が息子である事を告げるのか・・・・・。

ラストシーンは是非あなたの目で確かめてください。


この映画のラストシーンは、かなりキます。
ラストシーンのとある部分では一気に感情が高ぶって涙が出てきそうになります。

また、物語の合間合間には、出ていったロバートを探し出そうとしている育ての親達の姿も描かれ、必死になってロバートを探そうとする育ての母親の姿、留守電に入っていたロバートからの「はい、僕。元気な事を知らせようと思って。心配ないからね。」というメッセージを涙をこらえながら何度も何度も繰り返し再生する育ての父親の姿は観てて涙が出てきます。
 


残念ながら、現在DVDも出てないようだし、ビデオも廃盤となっていて、非常に観る事自体難しくなっています。
もし、スカイパーフェクTVなどの映画チャンネルなどでこの映画をみつけたら良かったら観てみてください。

この映画を放送してくれた関西テレビのミッドナイトシアター(番組名)には、いくら感謝してもしきれません。

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11/30/2004

ニューシネマパラダイス

ニュー・シネマ・パラダイス
フィリップ・ノワレ ジュゼッペ・トルナトーレ
ジェネオン エンタテインメント
2000-08-11


by G-Tools

ジャンル:映画
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ 音楽:エンリオ・モリコーネ
出演: フィリップ・ノワレ , ジャック・ペラン , アニェーゼ・ナーノ , サルヴァトーレ・カシオ , マリオ・レオナルディ 他

映画が始まる。
最初に映し出されるのは、そよ風にはためくカーテン。
流れるおだやかな音楽。

この時点で心がじーんとなってきます。(最早パブロフの犬状態)
そしてラストのシーンでは、何度観ても熱いものがこみ上げてきます。

ストーリーは主人公の「壮年時代編」→「少年時代編」→「青年時代編」→「壮年時代編の続き」という風に展開されていきます。

物語は一人の年老いた女性が電話をかけるシーンで始まります。
彼女は自分の息子のサルヴァトーレ(主人公)に連絡をとろうとしています。

自宅に帰ったサルヴァトーレは、愛人から、母親から連絡があった事、「アルフレードが亡くなった」という事を伝えられます。

ベッドの中で考えこむサルヴァトーレ。
少年時代へと思いを馳せます。

トト(サルヴァトーレの幼年時代の名前)は、映画館『パラダイス座』とそこで働くアルフレードという映写技師が好きでした。
アルフレードは初老のおじいさんでしたが、人なつっこい笑顔で観るものを魅了します。

少年時代編は幼いトトとアルフレードの交流を軸に、トトの映画への愛情がじょじょに育っていく様子が描かれていきます。

やがて不幸な事故を経て、やがて舞台は青年編へと移ります。

パラダイス座(改名してニューシネマパラダイス座)でアルフレードと共に働く事になったトトは、やがてエレナという女性と恋に落ちます。

エレナとの恋愛を軸に描かれる青年編。
そして青年時代の恋の結末は・・・・。

青年時代編も終わりを向かえ、トトは愛する映画への思いを捨てきれず、故郷から旅立ち映画監督になる事を選びます。
別れの時、アルフレードはトトに、「もう二度と故郷には帰ってくるな。過去をふりかえらずに進め」といいます。

トトはアルフレードとの約束を守り、その後一度も故郷へは帰らなかったのでした。
アルフレードの訃報を聞くまでは・・・。

舞台は冒頭の壮年時代編に戻ります。
アルフレードの葬式に出るために故郷に帰ってきたサルヴァトーレ(トト)は、そこで時代の流れによって変わってしまったもの、変わらなかったものを実感します。

時代の流れには逆らえず朽ちたニューシネマパラダイス座を前にしてサルヴァトーレが思うものは・・・。

そしてアルフレードの奥さんから、アルフレードの形見として託されたあるもの。
それを見たサルヴァトーレは・・・・。

実は一番最初に観た時はまだ子供だった事もあったのか、あまり感動したという記憶がありません。
ところがそれから何年後かしてから観た2回目、3回と観ていくうちに、この作品にどんどんはまっていく自分がいたのでした。

全編に流れるエンリオ・モリコーネの音楽は実に心地よく、愛らしいトトと親しみやすいアルフレードの交流がユーモラスに描かれた少年時代編、トトの成長と恋愛を描いた青年時代編、そして過ぎ去ったものに思いを馳せる壮年時代編では時代の流れを感じてなんとも言えないものがあります。
そして、あのラストシーン・・・。

あまり同じ映画を見返すというのは好きではないのですが、この映画は何度も繰り返して見たりしてしまいます。

このニューシネマパラダイスは「ニューシネマパラダイス(2時間程度)」と「ニューシネマパラダイス 完全オリジナル版(3時間程度)」の2種類がDVDで出ています。

日本で最初に公開されたのは、2時間の「ニューシネマパラダイス」。
実はこれは当初想定していた作品から、1時間ほどシーンをカットしたものでした。

後に発表された「ニューシネマパラダイス 完全オリジナル版(以後『完全版』と表記)」は、そのカットされたシーンが丸々入っています。

じゃあ、完全版を一番最初に観るのが良いかというと・・・・ニューシネマパラダイスを観た事がない人には正直こっちを最初に観るのはおすすめできかねます。

「ニューシネマパラダイス」と「ニューシネマパラダイス完全版」では映画から受ける印象がまったく異なってくるからです。(ラストシーンの感じ方も異なってきます)
カットされた部分には性的な描写や人間くささの描写、青年時代に恋に落ちたエレナと壮年時代に再会するシーンなどが加わっており、正直一番最初にこっちを観ると、「そんないい映画ではないのでは・・・」と思ってしまうかもしれません。
(完全版は冗長に感じ、ちょっとラストの感動具合が薄れてます・・・。ここまで印象が変わるのは珍しいです。)

2時間の「ニューシネマパラダイス」を観た事がある人なら、その後に3時間の「ニューシネマパラダイス完全版」を観るのも良いと思いますが、一度もニューシネマパラダイスを観た事がないという人には、2時間版の「ニューシネマパラダイス」から観る事をおすすめします。
(といっても、たいていのレンタル店では「ニューシネマパラダイス完全版」しか借りる事ができないのが残念です・・・。セル版なら両方発売してるのですが。)



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