pspやDS、将来的には3DSやPSP2でiphoneやandroid携帯みたいに自作のアプリを公開・販売できるようになれば面白いと思いますが、そういうのは任天堂やソニーはやらないんでしょうね。
でも、サードパーティーがそういう仕組みを勝手に作ってしまうのはどうなんでしょう?
PSP発売初期に、フロムソフトウェアさんが「アドベンチャープレイヤー」というソフトを出した事がありました。
このソフトは、PC用に配布された「アドベンチャープレイヤースタジオ」というアドベンチャーゲーム(ADV)製作ソフトで作成したゲームをPSPでプレイできるようにするものです。
PCの「アドベンチャープレイヤースタジオ」は製作ソフトで、PSPの「アドベンチャープレイヤー」はアドベンチャープレイヤースタジオで製作されたゲームデータを動作させるランタイム……という風な関係です。
ユーザーが製作したADVはwebなどで無料で配布でき、アドベンチャープレイヤーを持ってる人ならPSPのメモステに入れてそれらをプレイできました。
また色々な会社と提携して有料のADVをフロムソフトウェアの公式サイトで配信するということもやってました。
PSP初期はDLC(ダウンロードコンテンツ)の配信はPSストアではやってなかったのですが、メーカー独自のサイトでそれっぽいことをやっていたようです。
アドベンチャープレイヤーは残念ながら製作ソフトとしては機能がいまいちで、あまり人気が取れずに各種サービスは現在終了してしまったのですが、このように「PC向けに製作ソフトを販売し、家庭用ゲーム機用にランタイムを販売する」というのはokみたいなので、さらにこれを発展させて「ユーザーが製作したソフトを審査して、メーカーが代理でDLCとして有料販売する」という風にしたら、一ソフトウェアメーカーがappストアのアップルみたいな立ち位置で「販売代理手数料でがっぽり儲ける」という事ができるようになるのではないでしょうか。
具体的に書くと、ソフトウェアメーカー(以後「メーカーA」とします)は
1・PC向け(WINDOWS、MAC両対応)にゲームやアプリ製作ソフトを1万円以下で販売する
2・「1」で製作したゲームデータがコンシューマー機で動作するように、コンシューマ機向けのランタイムソフトを安価な値段でダウンロード販売する
3・ユーザーが「1」で製作したゲームやアプリを審査して、一定の水準を満たしているものについてはメーカーAが代理で「2」のソフト(ランタイム)のDLCとして販売する
の三つをやる事になります。
<<1・PC向け(WINDOWS、MAC)にゲームやアプリ製作ソフトを1万円以内で販売する>>
アドベンチャープレイヤーはアドベンチャーゲームやクイズゲームみたいなのしか主に製作できませんでしたが、特定のジャンルしか製作できないよりもbasicやC言語みたいな感じで独自のわかりやすい・作りやすい言語・インターフェイスを採用し、様々なゲームやアプリが製作できるソフトを作って8000円~10000円くらいで販売します。
このソフトでユーザーはゲームやアプリを製作し、メーカーのサイトでアップロードすると審査され、無事審査を通るとDLCとして有料販売されます。
wiiやPS3、PSP、xbox360の一般的なDLCはハードウェアメーカーの取り分と課金手数料が販売価格のだいたい30%くらいのようで、残りの70%がソフトウェアメーカーの取り分らしいですが、この70%のうち30%はメーカーAが代理販売手数料としてもらい、残りの40%がゲーム・アプリを製作したユーザー(デベロッパ)がもらえるという風にします。
つまり、30%はハードウェアメーカーの貰う分と課金手数料、30%はメーカーAがもらう、40%は製作ユーザーがもらうという事になります。
iphoneアプリはデベロッパの取り分が70%ですが、デベロッパ登録料として毎年1万円ほどかかり続けます。またWINDOWS機しか持ってない人はMACを別途購入する必要があります。(一番安いmacminiなどでも5、6万円かかります)
こっちはデベロッパの取り分は40%とやや下がりますが、「ゲームやアプリを作って販売して儲けたい」という人にとっては初期投資(製作ソフトの購入金額1万円くらい)のみですみます。(windowsマシンならほとんどの人が所持してるでしょう)
androidアプリ開発並に金銭的な敷居は低くなります。
この製作ソフトで作ったアプリ・ゲームは製作ソフトのエミュレーター上で動作させたり、テスト的にPCとUSB接続した開発者所有の実機に転送して動作確認できるものの、一般向けにwebでゲームデータを無料配布はできないようにします。
(製作ソフトで出力したゲームデータはそのままでは実機のランタイム上では動作しないという風にする)
メーカーサイトで審査を通った後にランタイム上で動作するようにゲームデータは加工されてからDLCとして配信されるという風にします。
販売価格は税込みで105円~1575円くらいの間でデベロッパが自由に設定可能に。
(実際にデベロッパに入るのは消費税を抜いた販売価格の40%)
<<2・コンシューマー向けにランタイムを安価な値段でダウンロード販売する>>
DSが一番国内では普及してる(3000万台以上)のでランタイム配布のプラットフォームとしてはDSを選びたいところですが、DSではDSlite以前は本体内のフラッシュメモリやSDカードスロットを搭載してなかったこともあってDLCはほとんど定着してません。
今プラットフォームとして選ぶとしたらPSP(現在国内1400万台以上でPSストア経由でDLCも結構売れてるみたい)ですかね。
ただ、PSPもそろそろ世代交代の時期に入っています。
将来的にはニンテンドー3DSやPSP2が有望でしょうか。
特に3DSならDSとの互換を取るためにペンで操作できるタッチパネルが載ってるでしょうから、ゲームだけじゃなくいろいろな実用系や変わったアプリも製作して販売できます。
メーカーAは「ユーザーが製作したゲームやアプリの代理販売手数料で儲ける」のが肝ですので、ランタイムは無料かできるだけ安価(600円~高くても1000円くらい)にダウンロード販売して、ランタイムをできるだけ多く普及させます。
ランタイムが普及すればするほど、その上で走るソフトも多く売れるようになり、その代理販売手数料収入も増えていきます。
<<3・ユーザーが「1」で製作したゲームやアプリを審査して、一定の水準を満たしているものについてはメーカーAが代理でDLCとして販売する>>
二次創作や著作権を侵害してるもの・アダルトなものはハードウェアメーカーがDLCとして有料配信するのを認めないでしょうから、そういうのは審査で通さないようにします。
あと不審な挙動をする(個人情報を外部に送信するなど)のも組み込まれてないかを入念にチェックします。
あまりにもクオリティが低すぎるものは審査で落としますが、「惜しい」物については、どこをどう直せば次回の審査で通りそうかきちんと製作者に告げることにします。
・・・・・・・と、上記三点がメーカーAがやるべきことになります。
収益的に見ますと、メーカーAにとっては
「PC向けの製作ソフトの販売で収益」が入り、
さらに「ランタイムの販売収益」で利益が上乗せされ、
さらに「ユーザーが製作したゲームやアプリの代理販売手数料(30%)」でがっぽり儲けるということができます。
PC向けの製作ソフトが1万本売れ、コンシューマー向けのランタイムが600円で200万売れ、ランタイム向けのゲームやアプリが平均単価200円で500万本/年ダウンロードされたとすると、これだけで数億の儲けが毎年入り続けることになります。
国内だけなく世界でも展開すると、毎年の収益は十数億かそれ以上に増加するでしょう。
製作ソフトのサポートや審査のための人件費もかかりますが、メーカーAにとっては「毎年結構な金額を出し続けてくれる打ち出の小槌」を手に入れた状態になります。
ランタイムで動作するゲームやアプリは、「小銭を稼ごう」と思ったユーザーがPC向けの製作ソフトを買ってくれた上でとっとこ製作してくれるので、iphoneアプリやandroidアプリみたいにどんどん増えていきます。
(こっちは有料アプリオンリーで無料のアプリは一切配信しないので、その点では増加スピードはもうちょっと下がるでしょうが)
消費者からすれば、「このランタイムというのを買えば、自分のPSP(や3DSやPSP2)でiphoneやandroid端末みたいにいろいろなソフトを購入してちょっとしたゲームを楽しんだり、機能をどんどん追加できる」という風になれば、ゲームやアプリが充実していくにつれランタイムの魅力が増して新規ユーザーをどんどん獲得し、そのランタイムが普及すればするほどランタイム上で走るゲームやアプリもますます売れていくという風になります。
基盤を一度築いてしまえば、勝手に成長していく一種のエコシステムができあがると。
自前のハードを持たないただの一ソフトウェアメーカーが、コンシューマーのプラットフォームをちゃっかり利用してゲームやアプリの代理販売手数料でがっぽり儲けられるというわけです。
そしてそのゲームやアプリはユーザーが勝手にどんどん製作してくれるので、製作コストはかからない。
「ユーザークリエイトコンテンツ」というのが数年前から注目されるようになりましたが、さらに発展させて「ユーザーが製作したコンテンツを代理販売してソフトメーカーが儲ける」という風にすると。
上記はソフトウェアメーカーにとってはかなりおいしい話なのですが、実際にやろうとすると、下記の二つの問題点が浮上します。
<<ユーザー製作ゲームやアプリをDLCとして配信すると、今までの一般的なゲームのDLCと比べて登録されるDLCが頻繁に増加して数が膨大になるのでは?>>
例えばPS系のハードでDLCを配信する場合はPSストアにDLCを追加していくということになりますが、今回の場合審査を通ったDLC(ゲームやアプリ)が毎日結構な量追加され続けるという風になってしまいます。
たいていのソフトのDLCは、数日あるいは数週間に数個追加されていくといった感じなのですが、今回の場合は毎日数十~数百のDLCがどんどん途切れる事なく追加されていくという風にもなりかねません。
そのように異様な速度で増加するDLCの配信をハードウェアメーカーが果たして認めるのか?
ハードウェアメーカーが配信を許可しない場合は、メーカーAが独自にサイトを構築して、そちらで独自に課金してランタイム上で動作するゲームやアプリデータを販売する必要があります。
独自の販売サイトを構築した場合は、ハードウェアメーカーへの支払い手数料30%は必要なくなるものの、サーバーの維持管理費・販売ユーザーへのサポート費用などがかかるようになりますし、ハードウェアメーカーが用意したストアとは別での販売だと、ランタイム内にサイトへジャンプしてDLCを買えるようにしてもDLCの売れる数はかなり減少するでしょう。
<<そもそもハードウェアメーカーがこのようなソフト・システムを許可するか?>>
アドベンチャープレイヤーが一応前例としてありますが、あのソフト用に有料配信されたゲームデータは「フロムソフトウェアが別の会社と提携して作ったもの」で、数もそんなに多くありませんでした。
しかし、今回の方式では「アマチュア・プロ問わず誰でもソフトを開発できる」ので、実際にやってみたら膨大な数の量のソフトが一気に登場することになるでしょう。
iphoneやandroidアプリでは、「あまりにもソフトウェアが増えすぎて食い合いが起こり、ソフト一つ一つはあまり売れない・注目されない。開発コストを度外視したアマチュアならともかく、プロのメーカーにとってはあまり旨みのない市場になっている。儲かるのはアップルばかり」という風になってしまってます。
同じ事が今回の市場でも当然起こりえます。
ハードウェアメーカーにとっては、ハードウェアメーカーが用意するストア経由で販売されるなら、このエコシステム向けのアプリが増えていってもハードウェアメーカーの取り分(販売手数料30%)はしっかりと入ることになるのでその点では問題はありませんが、しかしメーカーAとは別のソフトウェアメーカー達にとってはあまり気持ちのいいものではありません。
iphoneやandroidのゲームやアプリは、フルプライスのゲームと比べて明らかにボリュームが無い・作りこみも甘いのでフルプライスのゲームはあまり食われることはないでしょうが、DSiwareやPSP向けの安価なダウンロードゲームを配信してるメーカーにとっては膨大なミニゲーム・アプリが別に存在するとそっちに客を食われてかなりのダメージを受けることになるでしょう。(PSP2や3DS向けのミニゲーム製作会社も同様)
多くのソフトウェアメーカーの顔色も伺わないといけないハードウェアメーカーが、果たしてこのようなエコシステムを許可するでしょうか?
DLCの販売はおろか、ランタイムの販売さえ「今回は許可できません」という事で不可となることも……。
(そもそも、そういうのを認めるくらいならハードウェアメーカー自身がそういう仕組みを作ってしまうかも)
個人的には、自宅のPCでPSPやニンテンドー3DS・PSP2向けのちょっとしたゲームや実用アプリを開発でき、それを自分の携帯ゲーム機で気軽に動作できるようになったら面白いと思います。
「こういう機能が欲しいなぁ」と思った際には、開発ソフトで作成して、自分の携帯ゲーム機に組み込めると。
(違法フェームウェアを導入すれば携帯ゲーム機でも自作アプリが動作できるという話も聞きますが、さすがにそういうのに手を出すのは…)
また開発者ではなく消費者としてみても、iphoneやアンドロイド携帯みたいにいろいろなアプリを購入してPSP2や3DSの機能をどんどん追加していけるとなったら嬉しいですね。
現時点でもソフトウェアメーカーがDSiwareやPSPのダウンロードソフトなどでソフト配信を行ってますが、あまり充実してるとはいえません。
個人も参加できるようになったらもっと多種多様なアプリが登場するのではないでしょうか。
どんな物であれ、ゲームソフトやアプリがどんどん充実していくと、ハードを購入してない人達にとってもそのハードを購入する動機が増していくことになるでしょうし。