2004年か2005年頃にスカパーのスーパーチャンネル(現スーパードラマTV)でやっていた「冒険野郎マクガイバー」を当時DVDレコーダーで録画したのですが、最近になって一話から観かえしてみたところ、ところどころに映像や音声の乱れが発生するようになってしまいました。
録画媒体にはDVD-RAMを使用したのですが、カートリッジ式のを使っていたためディスクに傷がついたという事はありません。
盤面を見たところ、ほこりもまったくついてないようです。
メディアは安物の質の悪い海外製ではなく、国産の質が良いパナソニック製DVD-RAMを使用しました。
レコーダーで録画した番組は、ディスクにダビングした後に再生して映像や音声の乱れがまったく起きてない事を確認してますので、当時ディスクにダビングする際にエラーが発生したという事はありません。
他のプレーヤーで再生したところ同じ箇所で映像や音声の乱れが発生するため、プレーヤー側の不具合ではないようです。
結局「メディアの経年劣化でデジタルデータの一部にデータ化けが発生した」というのが原因のようです。
これについては「いつかはきっと起こる事」と覚悟してたので、残念には思うものの、驚きはしていません。
よく「デジタルデータは劣化しない」と言われてますが、実際は「適切な管理を行わないと劣化(データ化け)が起きる」というのは、長くデジタルデータに触れてきた方なら身をもって体験してる事でしょう。
90年代末頃にCD-Rにデータを書き込み、5年以上経ってからそのCD-Rを詳細に確認した事がある方なら、一部のデータにデータ化けが発生しておかしくなってるのに遭遇した事は普通にあるのではないでしょうか。
(ドライブできちんと読めるから大丈夫と思ってたら、実際はディスク内のデータを一つ一つ詳細に調べると、ところどころでデータ化けしてるファイルが結構あったりする・・・というのはよくある話。)
「海外製の質の悪い安物メディアを使うと2,3年で一部ファイルにデータ化けが起きたり、ディスク自体が読み込みできなくなったりする」というのはわりと知られた話ですが、実際は質の良い国産のメディアに書き込んだ上、紫外線や湿度・温度・傷などに注意して適切に保存してたはずのディスクでも、5年以上経過すると一部のファイルにデータ化けが発生するというのは仕方ない事のようです。
メディアメーカーの歌い文句では「数十年は劣化しない」と言ってたりしますが、市販のDVDやBDの映像ソフトみたいに「プレスして製造するROM形式」のディスクならそれくらい長くもつかもしれませんが、レーザーで記録層を変化させて書き込むRやRAM、RWメディアの場合は質の良い国産のメディアを使用しても「まったくデータ化けが起きない」のは5年程度と見ておいた方が良さそうです。
「ディスクがまるまる読めなくなる」のが数十年後というだけで。
(実際は運が悪いと国産メディアでも10年経たずにディスク自体読み込みできなくなる場合もまれにあります)
仕事などで大切なデジタルデータを扱ってるところは、それらをふまえて
・大事なデータは複数のディスクにバックアップしておく
(データ化けが起きると言っても、別々のディスクでまったく同じファイルにデータ化けが起きる確率は低いため)
・ディスク書き込み後3~4年経った時に、新しいメディアへデータを移行する
という事をやってるところも少なくありません。
メディアの経年劣化によるデータ化けを回避するために、こまめにデータを移しかえると。
そういう「適切な管理」をやって、ようやく「デジタルデータは劣化しない」と言えます。
しかし一般の家庭においては、「国産の質の良いメディアを使う事」や「紫外線や温度・湿度・傷などに気をつける事」には注意が払われても、「メディアの経年劣化によるデータ化け」に対しては考慮されていないところが多いのではないでしょうか。
家族の大事な写真や映像を、PCのHDDクラッシュに備えてDVD-Rなどのディスクメディアにもバックアップしてる方は結構いるでしょうが、一枚のディスクにバックアプしただけで、しかもメディア書き込み後5年経っても移し変えする事なく放置してる方は多いのではないでしょうか。
最近はトーン処理をデジタルで行うようになったり、下描き段階からフルでデジタルで作業をしている漫画家さんも多いですが、大事な原稿ファイルを一枚のディスクにバックアップしただけで安心してませんか?
ipadやkindleなどのおかげで手持ちの雑誌や本をscansnapS1500のようなドキュメントスキャナでデジタルデータ(電子書籍)に変換する人が増えてきてるようですが、一枚のディスクにバックアップしただけで安心してオリジナルの本や雑誌を古紙回収に出してしまってませんか?
いずれも後になってデータ化けが発生して一部のファイルがぐちゃぐちゃになってるのを見て顔面真っ青になってしまったり……。
後の祭にもならないためにも、大事なデータは「メディア代がかかるけど複数のディスクにバックアップしておく」「手間がかかるものの、3,4年経った段階で新しいメディアへデータを移しかえる」という事をお忘れなく。
デジタルデータの場合、アナログの場合と違って「劣化」によるダメージが大きくなったりするのも問題です。
例えば画像においては、アナログでは傷や紙質の変化、紫外線による退色などが起きたりしますが、それらの劣化は画像加工によってある程度修正できたりします。
ところがデジタルの画像では劣化(データ化け)が発生すると、画像の大半あるいは全部がぐちゃぐちゃになったり、そもそも画像ファイルとして認識しなくなったりして「復元不可能」になるのが多いです。
たった数ビットの狂いがデータの意味を大きく変えてしまい、ぐちゃぐちゃにしてしまいます。
画像の場合は画像まるまる崩れますが、動画ファイルの場合は「一部のフレームの映像がまるまるつぶれる」という事が多いです。
先ほどの冒険野郎マクガイバーも一フレームまるまる映像がつぶれて何かよくわからん映像になってました。
ただし運が悪いと「動画自体再生できなくなる」事もあったります。
自分で撮影した写真や映像データ、自分で作成したファイルなどは新しいメディアへ移し変えできますが、最近のテレビ番組はコピーコントロールがかけられてるため、それができなくなってるのが問題をややこしくしてたりします。
テレビ番組を数年後はもちろん十数年後も観たいと思うからこそディスクにダビングするのに、コピーガードのせいで「一度ディスクに書き込んだら、その番組を別のディスクへ移行できない」というアホな事になっており、このせいで「メディアの経年劣化によるデータ化け」が起きて映像のところどころが大きく乱れたり、最悪再生すらできなくなるのを甘んじて受け入れないといけないようになってます。
普段は事あるごとに「海外にあわせろ(グローバルスタンダード)」とか言ってるくせに、ことコピーコントロールについては海外のデジタル放送がコピーフリーとなってるのとは正反対にガチガチにコピーをかけるというのは呆れます。それによって後でどのような問題が発生するかも考慮せず。
そのコピーコントロールについても「海賊版対策」としてきちんと機能してるならまだわからないでもないのですが、実際はすでにコピーコントロールを外す機器を海外で作られており、結局海外の海賊版製造業者は日本のテレビ番組を好きなようにコピーしまくってるという……。
結局まともなユーザーには不便を強いただけで、海賊版対策にもなってないとなると、「じゃあ一体何のためにコピーコントロールをかけてるの?」という気がします。
データ化けが起きても、スカパーで放送してくれるならそちらでまた録画しなおせばいいですが、全部の番組がスカパーで再放送されるわけではないですしね。
(視聴にもお金がかかります)
コピーコントロールもEPN方式なら新しいメディアに番組を移しかえる事が可能で、「メディアの経年劣化によるデータ化け」を回避できたんですがね。
デジタル放送完全移行まであと一年ほどとなりましたが、後になって必ず問題となる「一度ディスクに書き込んだら、その番組を別のディスクへ移行できない」については放置のままとなってるのが気になります。