4月から飲料水の基準値は現在の200ベクレル/l(リットル)から10ベクレル/lに引き落とされます。
牛乳は例外として50ベクレル/lとなっていますが、水や清涼飲料、酒類、炭酸飲料などは10ベクレル/lが基準値となり、これを越えた物を販売してしまうと、発覚時にメーカーは回収するはめになります。
この10ベクレル/lですが、簡易計測器でははっきりいって基準値を越えてるかおさまってるかどうか、基準値前後ぎりぎりの物は判別できません。
カタログスペック的には検出限界値が10ベクレル/kg(l)のものもありますが、実際は計測誤差などが発生したりするからです。
(200ベクレル/lとかのなら簡易計測でも余裕で基準値を越えてるのはわかりますが)
そのため、「簡易検査では基準値前後のものはきちんと検査できないから、飲料のサンプル検査については基準値を越えてるかおさまってるかどうかは詳細検査をやるしかない」みたいに言われています。
詳細検査は機械が数千万円して導入する場合はコストがかかりすぎますし、所有してる機関に検査を依頼する場合も国内にある台数は事故直後より多少増えているとはいえあまり多いとはいえず、検査依頼が殺到しててだいぶ待たされます。
1回の検体の検査にかかる時間も簡易検査より長めとなっています。
しかし、実際は飲料については、10ベクレル/lを越えてるかどうかは、事前に「ある事」をすれば安価な簡易検査機器でも判断できるのです。
放射性物質が含まれる飲料は、蒸発させて水分を減らすと濃縮されて1リットルあたりの放射性物質量は増加します。
過去に実際に何回か実験が行われていますが、放射性物質が気化するほど高温で水分を飛ばすならともかく、普通に沸騰させて水を蒸発させていった場合は、残りの水の方に放射性物質が留まるという事がわかっています。
(念のため、もっと追検査した方がいいかもしれませんが)
実際は濃度などで多少数値が異なるのですが、例えば11ベクレル/lの飲料があったとして、水分を飛ばして量を1/20にすると、濃縮されて1lあたりの放射性物質量は220ベクレルとかになるわけです。
検出限界値が10~30ベクレル/kg程度の簡易計測機でも、例えば20リットル用意して水分を飛ばして20倍くらいに濃縮させたもの(1リットル)を検査して、もし100ベクレル/kgとかその程度の数値を示したなら、「これなら基準値以下におさまっている」というのが判断できるのです。
「正確に水分を希望通りの分量(例えば1/20)にまで減らすには?」と、「この方法では検査に必要な検体の量が通常の数十倍になってしまう」という問題はあるでしょう。
前者については、そういう機械を別途設計して用意する必要があると思います。
また毎回検査前に水分を飛ばすための時間が必要だったり、水分を規定量蒸発させる機器の購入代金が必要になるでしょうが、何千万もする詳細検査機を導入したり、検査機関での詳細検査でかなり待たされるよりはるかにいいでしょう。
こういうのは国内メーカーが必要ならば100万円以下で作ってくれると思います。
「乾燥すると濃縮されるので、より放射性物質濃度が高くなる」というのは、「サンプル検査」だけでなく、一部の食品、飲料に関しては「全数検査」でも使える手だったりします。
一例としては、「脱脂粉乳」があります。
脱脂粉乳は、牛乳から脂肪分を抜き取った物から、さらに水分を除去して粉末状にしたものです。
過去の実験データによると、牛乳内に放射性物質が混入している場合、乳脂肪分とそれ以外に分けた場合、後者の方に大半の放射性物質が残るという結果が出ています。(そのため乳清の放射性物質濃度は牛乳時よりも何十倍も高くなります)
脱脂粉乳は乳脂肪分を抜き取ってリットルあたりの放射性濃度が高くなってる上、さらに乾燥させて粉末状にするので、液体段階に比べて放射性物質の濃度が100倍以上に増加します。
例えば元の牛乳でセシウム134、137の合計が10ベクレル/lだった場合、これから乳脂肪分を取りのぞき、さらに水分を除去して脱脂粉乳にした場合、数千ベクレル/kgになるのです。
kgあたりの放射性物質量が数千ベクレルクラスになると、量が1kg~2kgあれば線量計を近づけて1分くらい計測するだけで、簡単に通常の空間線量の上下幅より有為に高い値を示すようになります。
「簡易計測によるサンプル検査(一部を抜き取って検査)」どころか、「線量計を搭載した機器による袋(1kg~2kgの)単位での1分表面計測による全数検査」ができてしまえるのです。
(*量が数gや数十gみたいに少ない場合はkgあたり数千ベクレルの汚染度でも線量検査ではわからないので注意が必要です。調べる場合は一定量(1kg~2kg)固めたものに線量計を至近距離まで近づけて検査する必要があります。)
脱脂粉乳は様々な食品に使われていますが、数千ベクレル/kgのものは線量計による袋(1kg~2kg)単位の表面計測で除外するようにすれば、一度に使う量自体は少量とはいえ、国民それぞれが年間で摂取してしまう放射性物質の量もだいぶ変わってくるでしょう。
今やってるサンプル検査では結局検査をすり抜けて汚染度の高い脱脂粉乳が簡単に流通してしまいますが、全数検査の場合はそういうのは回避できると。
粉末でも場所場所により濃度が異なる場合があるので、「ロット単位での抜き出し線量検査」ではなく、粉末をkg単位で小分けにして全数検査した方がいいでしょう。
(一袋だけ調べて、同じロットは未検査のままにすると、結局意味がないです)
脱脂粉乳は個人向けでも販売されていますが、もし流通しているものから数千ベクレル/kgのものが見つかって報道されると、製造メーカーのイメージが一気に悪化してそれによる業績悪化をまねきかねません。
きちんと全数検査すれば、そういう事態を回避できるようになるのです。
脱脂粉乳だけでなく、同じように途中で乾燥させて粉末状態にするものは、やはり線量計で全数検査して高い汚染度の物は除外できます。
(粉末スープとか)
また、「乾燥時に濃縮されるので全数線量検査で汚染度が高い物は除外できる」はお茶などでも使える手です。
茶葉は4月から基準値が100ベクレル/kgとなりますが、結局サンプル検査しかやらないと検査をすり抜けて汚染度が数千ベクレル/kgと高い茶葉も中には紛れてしまい、茶飲料にすれば薄まるとはいえ、茶飲料段階で10ベクレル/lを越えるものが出てくるでしょう。
以前、伊藤園の緑茶から70ベクレル/lの物が流通先で見つかった事がありましたが、これは4月以降の新基準値では完全にアウトです。
茶葉段階で数千ベクレル/kgの物も、昨年流通先で何度も何度も見つかりました。
飲用茶は茶葉時の数十分の一以下に放射性物質濃度が落ちるとはいえ、茶葉段階で1000ベクレル/kgとかそれ以上になると、茶飲料段階で10ベクレル/lにおさめるのは難しいでしょう。
しかし、サントリーやキリン、伊藤園、他茶飲料を販売しているメーカーで、乾燥茶葉の段階で全数線量検査を行えば、基準値が越えたお茶は完全に除外できるようになるでしょう。
国内のメーカーがベルトコンベア式の全数検査機械を開発したりしてますが、あれによると数千ベクレル/kgどころか500ベクレル/kgなどでも検査して除外できるようです。
(以前テレビの紹介で見た時は、検査時間が短かったのが気になりますが・・・。あれはもうちょっと長めの検査時間にした方がいいと思います。あと検査対象にもっとぎりぎりまで近づけて計測した方が望ましい)
茶葉段階で500ベクレル/kgを越えるものは完全に除外できたら、茶飲料段階では10ベクレル/lを越える物は出ないでしょう。
飲料ではありませんが、鰹節やダシメーカーなどでも、同じように乾燥段階や粉末段階で1kg~2kg単位で全数線量検査を行って汚染度の高い物を除外できます。
今後の魚介類の汚染模様にもよりますが、カツオや一部の魚は放射性物質が濃縮しやすい生態系の中・上位に位置しており、生身段階でも数百ベクレル~数千ベクレル/kgの物が出てくるかもしれません。
そのような汚染された魚を乾燥させてカツオブシや粉末ダシ状にすると、濃縮されて数千ベクレル/kg以上になるでしょうが、乾燥段階で全数検査をしておけば、そういう汚染度の高い物を間違って個人や業者に販売してしまう事もないと。
ヤマキやハナマルキ、他色々なカツオブシメーカー、ダシメーカーで全数検査を導入してはどうでしょうか?
もし「流通している○○のダシからkgあたり数千~数万ベクレルの放射性セシウムを検出・・・」と報道されると、ダシやカツオ節は使用時にはかなり薄まるとはいえ色々なところで使われる事もあって、メーカーの印象が悪化して今後の業績に悪影響を及ぼしかねません。
中には何十年と長く経営が続いたところも業績悪化の後、倒産するところも出てくるかもしれません。
全数検査をきちんとやってるところは、そういう事態は起きないでしょうし、それをパッケージにしっかり明記しておけば、「消費者の事を考えてきちんとした検査をしている」という風に企業イメージが良くなって今より業績を向上させる事ができます。
やってるメーカーとやってないメーカーではかなり業績に差がついてしまうでしょう。
乾燥しいたけや、一部の干し物系加工食品も、水分を飛ばして濃縮させるため、時々流通先で数千ベクレルクラスの物が見つかったりしていますが、このような数千ベクレル/kgクラスの物は、やはり1kg~2kg固めて表面に線量計を近づけて1分くらいの線量検査をすれば出荷時に完全に除外できます。
農家単位ではなくJAなどで検査機器を導入して地域で利用して全数検査するようにすれば、農家の負担も減るでしょう。
きのこ類は放射性物質の移行係数がとりわけ高いため、乾燥させたものだけでなく、生の物も全数検査した方がいいかもしれません。
各地に拡散してしまった汚染原木や汚染オガクズの汚染度によっては、意外な県のきのこで乾燥させてないのに数千ベクレル/kgと高い数値を示す物も出てくるかも。
全国のきのこ栽培業者は数千ベクレル/kgクラスの高汚染きのこを間違って販売してしまって、消費者からそれを発見され、メーカーのイメージが一気に悪化して業績に悪影響を与えないよう、乾燥や生きのこの出荷前の全数線量検査はやっておいた方がいいでしょう。
サンプル検査だけでは、こういう高汚染きのこは簡単に検査を素通りして間違って出荷してしまいます。
食べ物ではありませんが、肥料や腐葉土などでも、数千ベクレル/kgや数万ベクレル/kgとひどく汚染されたものは、1kg~2kg単位での全数線量検査で完全に流通しないようにもできるのです。
昨年は数万ベクレルクラスのひどく汚染された腐葉土、肥料が流通先で何度も何度も見つかりました。
現在も実際はメーカーはサンプル検査しかやっておらず、全国各地に汚染度の高い物がこっそり流通して、そういうのが農家や個人の家庭菜園で土にまかれてしまってるかもしれません。
肥料、腐葉土、堆肥の基準値は400ベクレル/kgですが、例えば4万ベクレル/kgの物をまいてしまうと、たった一度で基準値ギリギリの物を100回分も農地にまいてしまう事になります。
しかも肥料や腐葉土、堆肥は今後も田や畑にまき続けるため、汚染度の高い物を知らずにどんどん使って農地の汚染度を上げていく事にもなりかねません。
肥料や腐葉土は地産地消ではなく、全国各地に色々なところの物が出回っているため、今のザルみたいなサンプル検査だけをやり続けて高汚染の物を素通りさせて流通させ続けると、日本各地の農地がどんどん汚染されていく事になります。
西日本や北海道などでも気づいたら汚染レベルの高い農地がところどころにできてしまってたり、現在頑張って農地の汚染レベルを下げようとしている東北、関東の農地でも肥料、堆肥、腐葉土のせいで汚染レベルが下がるどころか今よりもっと上昇するという事にもなってしまいます。
堆肥、腐葉土、肥料などについては、法律で製造メーカーや販売店で全数線量検査を義務化し、数千や数万ベクレル/kgの高汚染度の物は絶対に流通させないようにすべきです。
しいたけや腐葉土、肥料などに関しては、基準値を100ベクレルほど越えている程度のものなら線量検査では正直わからないでしょうが、数千や数万ベクレルとひどく汚染されたものについては、全数線量検査でしっかり除外する事ができるのです。
線量検査の際は、距離をおかず、できるだけ対象に線量計を近づける(表面で計測する)というのは大事なので注意してください。
数万ベクレル/kgのものならともかく、数千ベクレル/kgのものは線量計で判別できるといっても、できるだけ近づけて計測するのが望ましいです。
自動で線量検査をしてくれる機器を開発しても、対象物から距離をおいて計測してしまう場合は、数千ベクレル/kgクラスのものでもそうとわからず素通りさせてしまう場合があります。